ドキュメント管理とは?メリットや適切な進め方を解説

ドキュメント管理とは?

オフィスや書庫に保管されている様々なドキュメント。現在は紙だけでなく、ペーパーレス化の流れで社内イントラやクラウドストレージに保管された電子ファイルも含まれますが、それぞれの管理方法についてお困りではないでしょうか。

『たかがドキュメントの整理』と思いがちですが、適切な管理がされていないと年単位では膨大な業務効率のムダが発生します。それが部署単位、会社単位・・・と規模が大きくなるほど業務への影響も大きくなります。

今回は、ドキュメント管理のメリットや注意点、管理を効率的に進める方法について解説してきます

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ドキュメント管理とは?

ドキュメント管理は、ビジネスや組織が作成し、収集した文書や情報を効果的に管理するプロセスのことを指します文書管理と呼ぶこともあり、こちらの方が一般的ではありますが、基本的には同じ意味だと考えて差し支えありません。

「管理」と聞くと整理と保存が真っ先に浮かびそうですが、より正確には検索、共有、電子化、システム導入など、要するに文書のライフサイクルに関わるあらゆるフェーズをまとめて「ドキュメント管理」と呼ぶことが出来ます。

ちなみに従来、ドキュメント管理の代表的な方法としてはファイリングシステムがありました。これは企業や団体で所有するドキュメントを適切に分類し、継続的に運用・管理出来るようにする仕組みのことですが、現在は従来型のファイリングシステムに電子化やDMS(ドキュメントマネジメントシステム)導入のフェーズが、またその目的も単なる業務効率化からDX(デジタルトランスフォーメーション)やペーパーレス化など、ビジネスモデルや業務全体の変革に関係するものへその効果が広がっています。

このように、ドキュメント管理は時代の変化に伴って重要性を増しているとも考えることが出来ます。紙/デジタルを問わないという意味でも、どの組織においても必須であると言えるでしょう。

ドキュメント管理に欠かせない「文書のライフサイクル」

なお、ドキュメント管理において欠かすことが出来ないのが「 文書のライフサイクル」です。

単に文書と言っても、その保存年数が法律で定められているもの/定められていないもの、使用頻度が高いもの/低いもの、初版がずっと使われているもの/定期的に改定されているもの、など、ルールや日頃の参照頻度等によって適切な管理方法は変わります。そうした文書ごとの特性を踏まえた上で、文書の「発生」から「活用」そして「廃棄」までの一連の流れ=ライフサイクルを定めて管理することで、初めて有効なドキュメント管理をすることが出来るのです

文書のライフサイクルについては、以下の記事で詳しく解説しています。

⇨【関連記事】文書のライフサイクルとは?意味や各プロセスを解説

ドキュメント管理のメリット

ドキュメント管理を適切に行うと、どのようなメリットがあるのでしょうか。ご存知の方も多いと思いますが改めて確認していきましょう。

ムダな時間の削減になる

ドキュメント管理がされていないと、紙/デジタル文書問わず検索に時間がかかってしまいます。例えば従業員数100人の会社で各社員が一日に15回、一回あたり1分かけて文書の検索を行うとすると、年間でなんと360,000分=250日分もの所要時間が発生することになります。『PDF化されていればすぐに見つかるだろう』と思うかも知れませんが、PDFデータでも保管場所がクラウドストレージやPCのローカルなどに点在してる場合、すぐに辿り着くことは困難でしょう。

適切なドキュメント管理がされている状況では、「どこに・どのドキュメントが・どの名前で保管されているか」を短時間で把握出来ます。これは後述するように適切なフォルダ階層の構築やファイル名の命名規則をしていること、共有が必要な文書はPCのローカルで放置せず一元化すること等で実現することが出来ます。

情報が統一される

ドキュメント管理が適切にされていれば、ドキュメント情報の統一性、一貫性が確保されます

例えば、あらかじめ作成しておいたひな形をベースに各社員が資料を作っているとしましょう。適切に使われていれば問題ありませんが、ある社員がひな形を独断で改訂したり、ひな形のファイルがどこかへ行ってしまうこと、またそうしたドキュメントの変更をいつ・誰が行ったのかが分からないといった事態が発生してしまうと、業務に大きな混乱をきたす恐れがあります。

管理・運用ルールが適切に整備されていれば、こうした情報の重複・紛失やそれに伴う混乱が発生するリスクを下げることが出来ます

セキュリティリスクを削減出来る

例えば紙のドキュメントで、執務室のキャビネットから取り出した原本を『あとですぐ使うから』という理由で机の上に放置しておいたことは無いでしょうか。これは紛失の恐れがあるだけでなく、そのまま文書が持ち出される恐れもある非常にリスクの高い行為です。また電子化されている場合でも、強固なセキュリティ対策が施されているDMSやクラウドストレージではなく、個人のスマートフォンやタブレットに『見たい時に見れるから』という理由で保存してしまうと情報漏洩のリスクがあります。

紙/デジタル化されたドキュメント問わず、どこに保存するか、使った後はどうするか、ドキュメントを参照出来る場所(またはデバイス)はどう設定するかをしっかり定めておくことで、こうした安易な取り扱いによるセキュリティのリスクを下げることが出来ます。セキュリティ対策が講じられているシステムを使えば外部からのハッキングにも対抗出来るでしょう。

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ドキュメント管理を適切に進めるには

改めてドキュメント管理のメリットを確認したところで、適切に管理を進める方法について見ていきましょう。

適切な管理ソフトを導入する

現在は多くの企業で紙の文書/デジタル化された(あるいはボーンデジタルの)文書ファイルが混合して運用されていると思いますが、徐々にペーパーレス化への移行を進んでいるところも少なくないと思います。その上で重要なのが適切な文書管理、またはストレージソフトを導入することです。

注意点としては、ドキュメント保存が出来れば何でも良い、という訳ではないことが挙げられます。例えば現在、無数のクラウドストレージソフトがリリースされていますが、検索機能の豊富さやドキュメントへのアクセス履歴、そのバージョン履歴など、中にはドキュメント管理の上で重要な機能が搭載されていないシステムもあります。先述した文書のライフサイクルを管理する上でも、そのストレージソフトがドキュメント管理を想定した設計になっているのかは導入前に確認が必要です。

DMSを導入する時は、そもそもどのドキュメントを管理したいのか、どんな機能があった方が良いのか、導入コストや導入にかかる時間はどれ程かの検討をしておくと良いでしょう

適切なフォルダ階層・ファイルの命名規則を設ける

ドキュメント管理に適したソフトウェアを導入しても、その機能性を活用出来るような仕組み作りが無ければ意味がありません。各部署やプロジェクト毎にフォルダを分け、かつ階層化し、そこへ格納するドキュメントのファイル名にもルールを設けることで、広大なストレージ内でファイルが無作為に並ぶ状態から、整然としたドキュメント管理と運用を実現することが出来ます

なお、フォルダ階層の深さは4階層まで設けることが理想とされています。なぜ4かというと、階層が少な過ぎると同一フォルダ内に情報が溢れかえることになりますし、深過ぎても目的のドキュメントに辿り着くために時間がかかるためです。

ファイルの命名規則にしても、やりがちな「●●関連」「最新_」「その他~…」 など、見る人によって解釈が変わる名前の付け方は避け、社内の誰もが分かるようルールを統一することが大切です。

ドキュメント管理の担当者を決める

適切なドキュメント管理においては情報が一元化されると書きましたが、とはいえ管理の事情や運用ルールは部署毎にカスタマイズすることも必要です。これは必ずしも社内の人間である必要はありませんが、各部署にドキュメント管理の中心となる人物を一人設けることが望ましいでしょう(もちろん、社内にドキュメント管理専門の部署があればその限りではありません)。

各部署に担当者がいれば、その部署の特性や業務内容、そして業務の中で発生するドキュメントについてよく理解したドキュメント管理が出来ますし、また部署外でのポジショニングに長けていれば、ドキュメント管理における他部署との連携もスムーズに進めることが出来ます。前項のフォルダ階層や命名規則等の仕組みがしっかり履行されているかを監督するのも重要な役割です。

各従業員が各々の解釈で進めるのではなく、管理担当者を決めて運用することで、より統一感のあるドキュメント管理を実現することが可能となるでしょう

ドキュメント管理は継続が重要

今回はドキュメント管理のメリットやポイントについて解説しました。それまでドキュメント管理を”何となく”で進めてきた企業や部署にとって、適切なドキュメント管理やその為のシステム導入はコスト・時間がかかります。そのため、その存在を知っていてもなかなか実施に踏み込めないという方もいらっしゃるかも知れません。

しかしドキュメント管理で重要なのは導入だけでなく、その導入よりも難しいと言われている「継続」も同じです。社員に管理の重要性を理解してもらい、定めたルールを守りながら運用してもらうことは簡単ではありませんが、軌道に乗れば日々の業務の様々なシーンでその効果を実感することが出来るでしょう。

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