BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)とは?メリット・デメリット、業種を紹介!

BPOとは?

ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)は、経営の合理化を目指す多くの企業が採用するサービスです。

この手法は、企業が特定の業務プロセスを外部のサービスプロバイダーに委託することを指します。BPOは様々な形態で展開され、業界や企業のニーズに合わせてカスタマイズされることが一般的です。記事では、BPOの基本からメリット、デメリット、具体的なBPOの種類について解説していきます

ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)とは?

ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)は、企業が特定の業務プロセスを外部の業者やサービスに委託することを言います。

近い概念として「外注(アウトソーシング)」というものがありますが、外注は基本的にプロジェクト単位の依頼であることや一つの“業務”を依頼することを指す一方、BPOでは「ビジネスプロセス」という名が示す通り、一連の業務フローを丸ごと外部へ委託することになります。単なる外注に比べ戦略的・長期的な関係になりやすいのがBPOと言えるでしょう。

BPOの市場規模は年々増加の一途を辿っており、2022年度は前年度比3.0%増の4兆7,020億9,000万円という金額にまでなっています(出典:(株)矢野経済研究所)

BPOされる業務の例

では具体的にBPOとして代表的な業務の例を見ていきましょう。

文書スキャニング

一つ目に挙げられるのが資料や紙文書のスキャニングです。

近年デジタルトランスフォーメーション(DX)やペーパーレス化浸透の流れの中で電子化のニーズは高まっていますが、一方スキャナーのレンタルや購入には多額の費用がかかる上、購入したとしてもスキャニング作業に当たる人的リソースを投入するとコア業務に注力する時間を削がれてしまいます。また、ひとえにスキャニングと言っても資料の種類や電子化後の目的によって仕様は変わるため、専門知識のない方にとっては大変な作業です。

一方スキャン業者へ依頼すれば、電子化はもちろんファイル名の整理やOCR処理の実施、資料整理、果ては長期的な文書保管や文書管理システムの導入まで一通り依頼することが出来ます。これらを自社内で完結させるには膨大な時間と手間がかかるため、BPOとしてスキャン業者へ依頼すると大きなメリットを得られるでしょう。


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データ入力

スキャニングと並行して発生することの多い名簿やアンケートなどの入力作業。こちらも代表的なBPOのサービスの一つです。

2023年現在、手書き文字も認識できる高精度なAI OCRが多数登場していますが、多くは月額制のサブスクリプションのため使わない時もランニングコストがかかってしまう、用紙の種類によってはAI OCRをもってしても文字認識が出来ない場合もあるなど、依然としてマニュアル作業によるデータ入力のニーズは根強く残っています。

たかが入力作業と思いがちですが、ある程度の規模になるとプロジェクトの管理やスケジューリング、使用するソフトウェア、セキュリティへ対策などやらなければならないことが沢山あります。これを自社内で、かつコア業務と並行させながら実施するのはなかなか現実的ではありません。よって、データ入力のBPOも多く外注されています。


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カスタマーサポート

サービスや商品のいわゆる「お問合せ窓口」「ヘルプデスク」など、インバウンドの問合せを受ける専門の業務を外注するBPOも沢山の導入事例があります。

カスタマーサポートでは実に様々な業務が発生します。注文の申込のようなシンプルな応対から、トラブルシューティング、顧客情報の管理、クレーム対応、フィードバックの収集まで幅広く対応する必要があり、しかも近年は電話だけでなくメールやチャットなど、カスタマーサポートの「マルチチャンネル化」が進んでいます。更に、サポートセンターを立ち上げる前にスクリプトの作成やスタッフのトレーニングまで必要で、自前でこれらを用意すると莫大な設備投資が必要になります。

これらをまとめて外注できるのがBPOです。コスト削減はもちろんですが、カスタマーサポートのBPO業者はセンター運営の豊富なノウハウを持っているため、外注とはいえ非常に的確なサポート体制を整えてくれます。他、顧客対応に必要なソフトウェアの導入や問合せの規模に応じたスケーラビリティなど、なかなか自社で用意してしまうと難しい動きも専門業者ならスムーズに対応してれます。

営業代行

営業職はどの業界でも人手不足となっており、慢性的に担い手が足りない状況です。またパフォーマンスも個々人によって差が出やすく、ナレッジや経験の属人化が起こりやすいという課題もあります。

営業代行では、テレアポ・DMでのアプローチからアポ取り〜商談〜クロージングまで一気に依頼することが出来ます。自社で雇用する場合、エースが退職してしまうと部署全体の売り上げに影響する恐れもありますが、営業代行ではその心配もありません。

WEBマーケティング

いわゆるSEO(検索エンジン最適化)などのWEBマーケティング一式を委託できるBPOも存在します。WEBマーケティングではコンサルティング業者の方が一般的ですが、現在ではそのノウハウを活かし、例えばオウンドメディアも記事作成〜運用まで丸ごと依頼することも可能になっています。

WEBマーケティングは常に新しいアルゴリズムやプラットフォーム、方法論、ソフトウェアが登場しており、その変化は非常に目まぐるしく起きています。これらにキャッチアップするには自社でマーケターを雇用する必要がありますが、雇用していても多岐に渡る各プラットフォームでPDCAを回し最善策を取り続けるのは至難の業です。

専門業者へ外注すれば、常に最新のマーケティングトレンドを更新し続けてもらえるだけでなく、戦略全体に関わるアドバイスや情報提供など非常に幅広い領域で頼ることが出来ます。自社でマーケターを雇う余裕がない、雇ってはいるがリソースが足りていない企業は検討してみると良いでしょう。

今回は代表的な5ジャンルを紹介しましたが、実際には無数のBPOが存在します。『特定の業務フロー全体を見直したい、課題を解決したい』と考えている方はぜひ、対象となる業者を調べてみてください。

BPOのメリット・デメリット

BPOの概要について理解したところで、BPOのメリットとデメリットについて解説したいと思います。

BPOのメリット

まずはメリットから紹介します。すでに多くの方がご存知だと思いますが、改めて確認していきましょう。

コストを削減出来る

BPOを導入する多くの企業は、第一にコスト削減をその理由として挙げています。BPOに業務を委託することで、依頼した企業は固定コストを可変コストに変換出来、運用コストを大きく削減することが可能です

例えば、データ入力専任の従業員をフルタイムで3名雇用したとしましょう。自社雇用の上専任のため、一見最適な人員配置に思えるかも知れませんが、フルタイムで雇用すると給与の他に社会保険や各種手当などのコストが発生します。また常に入力業務があれば良いのですが、タイミングによって手隙になる場合も人件費は発生しています。更に自社雇用の場合は当然、自社で研修やマネジメントをしなければならず、その業務に従事する人員の人件費も考慮に入れる必要があります。また人件費だけでなく、データ入力ならPCを、スキャニングならスキャナーをそれぞれ購入/レンタルしなければなりません。

BPOの場合、必要な費用は実作業に必要な分のみなので非常にコストを効率化出来ます。また各種業務に当たる人材も熟達しているため、都度依頼企業側で研修やマネジメントをする必要はありません。結果として自社で同じ作業を行うよりも少ない人件費で達成することが出来るでしょう。もちろん機材など設備を購入する必要もありません。

コア業務に集中出来る

BPOの利用を検討する業務は、本来その企業の中核となる業務ではない=「ノンコア業務」であることがほとんどです。「ノンコア業務」に人員を割いてしまうと本来重要な業務=「コア業務」へ集中する人的リソースが不足することになります。『コア業務の合間を使ってノンコア業務もやりくりする』という考え方もありますが、あまり効率的な方法ではなく、結果「コア業務もノンコア業務も中途半端」になってしまう恐れがあります。

BPOへ「ノンコア業務」を丸ごと外注すれば、企業は「コア業務」に注力することが出来、結果生産性・業務効率が大きく向上します

自社で行うよりも高い品質を期待出来る

前項と重なる部分もありますが、BPO業者はそれぞれの分野のプロ集団です。例えばSEOは検索すれば方法論や戦略の立て方などが無数に出てくるため、”見よう見まね”でプロと同じようなことをすることは不可能ではありません。事実、外注するコストに躊躇して自社でSEO対策を進める企業も沢山いらっしゃいます。

しかしそれがSEOのプロと同じレベルになるかと言えば、残念ながら難しいと言わざるを得ないのが現実です。SEOに限らず、各業界ではインターネットに載っていない「暗黙知」が無数にある上、インターネットに載っていたからといって必ずしも正しい情報とは限りません。また方法論自体は検索で出てきても、それを実践することはまた別の話になります。

BPOには各業務フローにおいて高い専門性を持っているため、自社でゼロベースから実践するよりも遥かに短時間かつハイパフォーマンスで結果を出すことが出来ます。各業務フローの“さわり”を理解するなら自社で実践するのも一つですが、会社としての戦略や具体的な売り上げに関わってくる場合はBPOも選択肢に入れると良いでしょう。

BPOのデメリット

では、BPOのデメリットは何でしょう。端的に言えば、メリットの“正反対の側面”がBPOの注意点となります。

社内にノウハウが溜まらない

BPOへ外注すると、その分野において社内にノウハウが十分に蓄積されない可能性があります。業務やプロセスに関するナレッジ、スキルが社内で育成されず、外部の専門業者が持つ知見に頼ることになるのがBPOのデメリットです。

社内で特定の業務に関するノウハウが蓄積されない場合、企業はBPO事業者に強く依存することになります。これにより、業務や戦略の柔軟性が低下する可能性があります。また後述するように、ひとえにBPO業者と言ってもパフォーマンスには差があります。その評価をするためのナレッジが無ければ、クオリティコントロールや品質基準の確保に課題が生じる恐れがあります。

セキュリティ上の懸念

BPOでは一部の作業ではなく「業務フロー」を外注することになるため、業者へ渡すことになる情報も単純な外注に比べ多くなります。特に注意しなければならないのはクライアントの個人情報、社内の機密事項などプライバシーや社外秘に関わる情報を取り扱う場合です。

BPO事業者の多くはISMSやPマークなど、何らかのセキュリティに関する認証を取得し、HP上に記載しています。一方、BPO事業者は一部の作業を外注、つまり依頼した企業側から見れば「二次請負い」に当たる動きをすることもあります。これ自体は(しっかり契約時に話がされていれば)問題ありませんが、「二次請負い」がどんな会社なのか、セキュリティ面は担保されているのか等を必ず確認する必要があります。

最悪のケースとして、不正アクセスを受けて個人情報が流出してしまった事例もあります。こうなれば企業の信用や業績、社会的イメージなどを大きく損なう結果となるため、いずれにしてもBPO事業者の選定には注意が必要です。

BPOで飛躍的な効率化を実現しよう

本稿ではBPOの種類やメリット、デメリットについて解説しました。

ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)は、もはや無い業種な無いと言っても良いほど、現代の企業経営において重要なな一翼を担っています。BPOに委託することで、企業は効率性の向上、コスト削減、そして専門的なソリューションを享受することが出来ます。

一方BPOは業者選びや戦略へのコミットメントに失敗するとマイナス効果となる可能性もあります。成功の鍵はただ単に業務を委託することではなく、信頼性のあるパートナーとして連携し相互に協力し合うことにあります。

皆さんの会社にとって最適なBPO業者が見つかる、その手助けに本稿がなれば幸いです!

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