デジタル人材とは?求められるスキル・育成方法やDXでの重要性について解説!

デジタル人材とは?

今、どの業界でもデジタル人材の確保が急務となっています。AI(人工知能)、IoT、DX、デジタルイノベーションなどの最新テクノロジーの進歩は目覚ましいものがありますが、それらテクノロジーを業務として使いこなし、組織や事業の改善に貢献させる人材、デジタル人材が居なければ進めることは出来ません。

今回は、デジタル人材とは何か、なぜ今デジタル人材が求められ、不足しているのか、そしてデジタル人材に求められるスキルとは何か?を解説していきます

デジタル人材とは?

デジタル人材とは、AIやビッグデータなどの様々なデジタルスキルを持ち、事業や組織のために活用出来る人材のことを指します。とはいえ、厳密には求められる人物像は会社によって異なると言えるでしょう。

デジタル人材はIT人材とは違う?

よく似た言葉に「IT人材」という人材カテゴリがありますが、デジタル人材とIT人材は似て非なるものです。「デジタル人材」は最近出てきた言葉なので、IT人材の方が聞き慣れている方も多いかも知れません。

IT人材は情報システムやプログラミングなど、情報通信技術(Information Technology)の分野に従事する人材のことです。会社の部署で言えば「情報システム」や「開発」などに該当する人材が対象となります。

一方デジタル人材は、そうしたIT技術を活用してビジネスに新しい付加価値をもたらす人材のことを指します。つまり情報システムなどのIT系部署には限定されず、スキルや役割が該当していればバックオフィスや営業部の者でもデジタル人材と呼ぶことが出来るのです

なぜ、デジタル人材が求められている?

デジタル人材が求められている理由は、企業の競争力低下にあります。

経済産業省及び独立行政法人である情報処理推進機構(IPA)が2022年12月に公開した資料「デジタルスキル標準」によると、産業構造の変化や著しい技術革新に適応するためにDXが求められている一方、多くの日本企業は遅れを取っています。同時に、DXを実現するには特定の人物だけが専門知識を持てば良い訳ではなく、経営層から一般社員まで一人ひとりが『DXを自分ごととして捉える』ことが必要であり、かつその中心として専門性を持った人材、すなわちデジタル人材が必要となるのです

※参照:デジタルスキル標準  ver.1.1

スイスのビジネススクールIMDが発表している「世界デジタル競争力ランキング」の2023年版において、日本の順位は32位でした。22年は29位、21年は28位であり、年々順位を落としていることが分かります(ちなみに1位はアメリカ合衆国で、近隣では6位に韓国、9位に台湾、10位に香港、19位に中国がランクイン)。2020年ごろから日本でもDXが叫ばれるようになりましたが、いかにその定着に苦戦しているかが伺えます。

このように日本の国際競争力を高める上でも、もはやデジタル人材の確保は待ったなしの状況なのです。

デジタル人材は不足している

一方で、デジタル人材は供給不足になっているのが現状です。2023年に発表された「デジタル人材の育成・確保に向けて」によると、2020年時点で国内事業会社の9割近くがIT人材(※デジタル人材としての定義も含む)の質・量いずれの点でも不足していることが明らかになっています。また人材自体も東京に集中しており、地方企業はなおのこと不足度合いが深刻です。

※参照:デジタル人材の育成・確保に向けて

少ない人材プールを多数の企業で取り合っている状況であり、求められるスキルの高さも相まって採用難易度は非常に高いと言わざるを得ないでしょう。

デジタル人材に必要なスキル

そんなデジタル人材ですが、具体的にどのようなスキルを持った人材をそう呼ぶのでしょうか。ハードスキル、ソフトスキルそれぞれを紹介しましょう。

ソフトウェアの開発スキル

コーディングやスクリプト言語、具体的にはJavaScriptや近年人気が急増している機械学習等に使われるPythonなどを理解し、必要に応じて開発出来るスキルです。企業のDX化やIoTを推進する上で必要なシステム・アプリケーションの開発や保守を行う人材は、デジタル人材の代表的なスキルと言えます

デジタルリテラシー

ソフトウェア開発の前提にも該当しますが、デジタル技術は常に刷新しているため情報や技術のキャッチアップが必要です。またキャッチアップだけでなく、それらを理解しビジネスレベルで活用出来ることも大切になってきます。

こうしたデジタルリテラシーは、デジタル人材にとってハードスキルを取得する上で根本的なソフトスキルです。

データ分析・活用スキル

データ分析にはデータサイエンティストと呼ばれる専門職種がありますが、ビッグデータ等の分析と可視化、データに基づいたビジネスにおける意思決定の支援などの能力も非常に重要です

データ分析は単に分析ツールを使いこなすだけでなく、統計や数学、データのクリーニング、前述のプログラミングスキル、さらにそれをチームや組織に伝えるためのコミュニケーション力も求められます。

セキュリティの知識

デジタル人材は様々なシステム、ソフトウェアを導入・活用することになりますが、当然ながら何でも入れて良い、また入れて使えればそれで良いという訳ではなく、データ侵害やサイバーアタックからの保護も無くてはならない視点です

セキュリティに関連する法規制や規制基準に準拠することはもとより、システムへのアクセス管理、ウィルスソフトの導入、データの暗号化、そしてそれらを社内に周知させることも求められます。

プロジェクト管理能力

DXやデジタルイノベーションに代表されるように、デジタル技術でビジネスや組織に変革をもたらすことはデジタル人材一人の力では出来ません。デジタル人材が責任者となりつつも、プロジェクトとして管理、調整、コミュニケーションを行うプロジェクト管理能力が重要となります

ロジカルシンキング

上記紹介してきたスキルの根幹として、物事を論理的に考えるロジカルシンキングが不可欠になります。なぜその作業が必要なのか、これを実施するとどのような結果が得られるのか、何故それが重要なのか・・・といった問いに対し、都度論理的に判断し説明することがデジタル人材に求められる思考法です

デジタル技術やそれを活用するプロジェクトは非常に複雑で、多くの人の手が関わることになり、費用もかかります。そんな時に”感覚で”物事を進めることは極めてリスクが高いと言えます。ロジカルシンキングを自然に出来ること、そのマインドセットがデジタル人材には大切になってきます。

デジタル人材を「育成する」

以上がデジタル人材に求められるスキルの一例です。とはいえ、これだけのスキルを持った人材を採用することは困難です。デジタル人材は必ずしもプログラマーやSEである必要はないため、既存の在籍している社員をデジタル人材に”育成”することも出来ます。最後にその方法やサービスを2つ紹介しましょう

育成の方法① 研修サービスの利用

例えばシンクタンク・コンサルティング事業を展開している(株)三菱総合研究所では、実際にDXプロジェクトを通じてデジタル人材を育成する研修サービスを提供しています

ひとえに「デジタル人材」と言っても、実際にデータサイエンスの活用やシステム開発を行う者、マーケティングに携わる者、組織やプロジェクトマネジメントなど管理部分に特化した者などいくつかタイプが分かれます。三菱総合研究所ではこうした役割・タイプ別に応じた研修サービスをクライアントのDX戦略に合わせて育成するプログラムの企画・設計が提供されています

基本的なビジネススキルなどを座学で習得することはもちろんですが、課題発見力や企画力などの”非認知的スキル”もデジタル人材には求められるため、同社のプログラムではOJT中心のプログラムとなっています。

※参照:DX推進のカギとなる「デジタル人材育成」

育成の方法② オンライン研修の受講

経済産業省とIPAは、共同で「マナビDX」というデジタル知識やスキルが身に付くポータルサイトを運営しています。ここではデータ分析や情報セキュリティなどの基本的な知識はもちろん、RPAソフトの使い方、近年話題のChat-GPTに代表される生成系AIに関する講座まで実に幅広く用意されており、無料で受講出来るものも沢山あります

なお講座は民間企業により提供されているものも多く、グーグル社などデジタルの第一線で活躍する企業の知見を受講することが可能です。

会員登録はGoogleアカウントやYahoo! IDがあればOK。色々検索して興味のあった講座は是非受講を検討してみてください。

※参照:マナビDX

デジタル人材は”ハードスキル”だけではない

今回はデジタル人材について解説しました。「デジタル」という言葉から、どうしてもシステムやデジタルツールに関するスキルばかりイメージしがちですが、実際にはマインドセットを含め非認知能力も求められます。一方で、それゆえ営業やバックオフィスなど従来「AI」「IoT」「DX」といった領域に馴染みの薄かった方でもデジタル人材になることは可能です。

「デジタルスキル標準」にも記載されているように、デジタル人材に求められるスキルは経営層から一般社員まで広く身につけるべきものとされています。『自分は非IT系だから関係ない』と思わず、是非スキルアップに挑戦してみてはいかがでしょうか。

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