Europeana、文化遺産の3Dモデルと権利関係に関する研究報告書を公開

2024年8月26日付けのEuropeana Proの記事で、Europeanaによる文化遺産の3Dモデルと権利関係に関する研究報告書の公開について紹介された。本調査は、欧州委員会(EC)が2001年に発表した「文化遺産の欧州共通データベースに関する勧告」を受け、Europeanaへの3Dコンテンツ提供を支援するために委託された。Europeana Proの記事によると調査結果は以下の通りである:

研究目的

本研究の目的は、Europeana上に公開されている3Dモデルに関する権利記述の精度を向上させ、Europeanaおよび「文化遺産の欧州共通データスペース」に投稿された3Dモデルのアクセス、共有、再利用を促進すること。

現状

Europeanaでは、文化遺産に関連する3Dモデルを4,646点公開しており、その93%に新たな著作権の主張がなされている。そのうち75%は無効である可能性が高く、正確な複製を行うほど著作権が発生しにくい状況。一方で、3Dモデルの制作時に創造的な表現が強ければ著作権が発生する可能性が高まるため、正確さと創造性の間に生じるジレンマ。さらに、3Dデータ提供者の多くは著作権法の理解が不十分で、メタデータ(3Dモデルに関する説明情報)にオリジナル性に関する記述が不足し、権利状況や信頼性の確認が難しい状況となっていることが問題。

原因

Europeanaには、著作権評価を正確に行うためのプロトコル(規約・規定)が存在せず、3Dモデルの科学的な正確さや創造的な解釈に関する情報の開示が不十分。このため、信頼性や利用の可能性が損なわれている。

改善への提言

Europeanaは、正確な権利評価をサポートすることでデータ提供者間の信頼関係の強化に貢献。EDM(Europeana Data Model)とELF(Europeana Licensing Framework)の活用により、3Dモデルのどの要素が保護されているかを明確に開示する仕組みの整備が必要。これにより、帰属表示だけでなく、科学的研究や利用の促進が期待される。