クラウドサービスとは?メリットやオススメのサービスも紹介

2019.06.27

クラウドサービス』は最近日本でも注目を集めています。多くの企業でデータ保管、サービス運用の目的で、クラウドサービスの利用を開始しています。そのままスキャンでも、電子化した資料をクラウド上に保存・共有されている会社様を多数見てきました。一方、個人でも写真の保管や文章の共有などでサービスを活用する人が増えています。

しかし、クラウドサービスというものが何なのか、よく分かっていない方も多いのではないでしょうか。クラウドサービスの仕組みを知らないが、とりあえず便利だから利用しているという方もいるのではないかと思われます。

本記事では、クラウドサービスとは何なのかについて詳しく解説していきます。実はクラウドサービスには、様々な種類があるのです。その辺りについても触れていこうと思います

また、クラウドサービスの代表例についてもいくつか挙げています。クラウドサービスに興味を持った企業の方は、今後本記事で紹介するサービスの利用も検討してみてはいかがでしょうか?

クラウドサービスとは?

クラウドマーク

そもそも、クラウドサービスとは一体どういう仕組であり、普通のアプリケーションと何が異なるのでしょうか?

本項目ではまずクラウドサービスの辞書的な意味、利用するメリット、そしてクラウドサービスのリスクについて解説していきます。また、クラウドサービスが誕生した経緯についても触れていきます。

クラウドサービスの意味

クラウドサービスとはネットワークを使ってユーザーに提供しているサービスのことを言います。従来は「クラウドコンピューティング」とも呼ばれていました。クラウドとは日本語で『雲』を意味します。ネットワークの図を雲で表すことが多かったことから、クラウドという名称が使われるようになりました。

クラウドサービスは、スマホでもパソコンでも、基本的にどの端末からでも利用が可能です。ワードやエクセルのようなデスクトップアプリケーションとは違い、ダウンロードやインストールが不要になります。その代わり、インターネットにパソコンが接続されていないと、利用ができません。

クラウドサービスを利用することで、業務の効率化及びコストダウンを図れる可能性があります

クラウドサービスが誕生した背景、時期

スマートフォン

ネットワークを使ったサービス自体は、かなり昔から存在はしていました。しかしクラウドサービスという言葉が広まってきたのは、ここ最近のことです。インターネットやスマホの普及に伴い、様々なクラウドサービスが展開されていきました。

クラウドサービスはネットに接続しなければならないため、遅延が起こってしまう問題もありました。しかし今ではそれも改善されてきました。今では世界中のユーザーが、特にネットを介したサービスだということを意識せずとも、クラウドサービスを気軽に利用できるようになってきています。

クラウドサービスが広まってきた理由として、導入コスト運用コストが抑えられるというのがあります。クラウドサービスを利用することで自社サーバーが不要になるため、サーバーの購入費や維持が必要なくなります。また、サーバーのシステムを更新するための高いITスキルを持った人材もいらなくなります。クラウドサービスの普及は、ITにあまり明るくない企業がITを活用しやすくなることに繋がりました。

また、クラウドサービスはどの端末でもサービスが利用できるのが大きいです。スマホでもパソコンでも、アプリケーションをインストールしなくても、ネットに接続さえすればすぐに利用できます。リモートワークや出張の際にクラウドサービスは非常に便利です。

最近では柔軟な働き方が認められるようになっており、子育てをしながら仕事をしたりする人が増えました。クラウドサービスは、そういった働き方を後押ししている側面もあるでしょう。

更にクラウドサービスは自社サーバーを運用するよりも、セキュリティー面での安定感があります。クラウドサービスを運営している会社は、情報漏洩に対するセキュリティーを強化しています。ITスキルの高い人材がいないのにも拘わらず自社のサーバーを運用すると、ウイルスに感染してしまったりする可能性があります。クラウドサービスの利用しているユーザーは実際、クラウドサービスのセキュリティーの高さに関してはかなり信頼をしています。

総じてクラウドサービスは、ITのプロにデータを管理してもらえるメリットが大きいと言えます。中小企業にとって、クラウドサービスは魅力的であることが多いでしょう。

クラウドサービスのリスク

セキュリティ

クラウドサービスはセキュリティー面で信頼性は高いものの、ユーザーにとってリスクが全くない訳ではありません。クラウドサービスを使うにあたって、注意しなければならない点はいくつかあります

クラウドサービスは基本的に、サービスにログインして利用します。ログインする場合はパスワードを入力することになる訳ですが、このパスワードが漏れてしまうと、他者からでもアクセスが可能になってしまいます。そのためパスワードの管理は徹底しておく必要があるでしょう。パスワードの定期的な変更を行ったり、端末にパスワードを保存しないように設定したりして、対策しておく必要があります。

またクラウドサービスの中には、ファイル共有機能が搭載されているものもあります。グーグルドキュメントやEvernoteなどは、共有機能がかなり利用されています。しかし人為的なミスによって、間違えてファイルを一般公開してしまう可能性もあります。ファイルを一般公開してしまうと、情報漏えいに繋がってしまいます。ファイルの公開状況を変更する場合は、二重チェックを怠らず、注意深く行なう必要があるでしょう。

またクラウドサービスは、サイバー攻撃のリスクも全くないとは言い切れません。実際、アメリカのIT企業では過去にサイバーテロの被害を受けてしまい、30億人のアカウント情報が流出してしまう事件がありました。サイバー攻撃は大手企業が基本狙われますので、クラウドサービスの運営している会社も狙われる可能性があるのです。クラウドサービス運用側も対策は取っているものの、100%安全という訳ではありません。

クラウドサービスの種類

様々なサービス

クラウドサービスにはいくつか種類が存在します。大きく分けて次の種類があります。

  • SaaS
  • PaaS
  • IaaS
  • DaaS

これらは提供するサービスの中身がそもそも異なるため、違う種類として扱われています。それぞれどのようなサービスを提供してくれるのか、解説していきます。

SaaS

SaaSとは「Software as a Service」の略であり、ソフトウェアを提供するクラウドサービスという意味です

SaaSは企業だけでなく個人でも利用することが多いクラウドサービスであり、1番身近で簡単に利用できるものです。これまでソフトウェアとして利用されていたシステムを、インターネット経由で利用できるようになったものが、SaaSと言えるでしょう。

Gmailなどのメールサービスも、実はSaaSに該当します。その他Dropboxなどのデータ保存サービスや、サイボウズなどのグループウェアが該当します。

PaaS

PaaSとは「Platform as a Service」の略であり、開発環境自体を提供するクラウドサービスという意味です

SaaSとは異なり、サービスを提供する訳ではなく、サービスを作る環境そのものを提供します。PaaSは一般向けではありませんが、様々な企業で活用されています。

PaaSを利用することで、アプリケーションのテストや運用行なう環境が整うため、自社でサーバーを用意しなくても良くなります。また実行環境だけでなく、データベース等も提供されます。

PaaSの代表例としては、アマゾン ウェブ サービスやMicrosoft Azureなどが挙げられます。

IaaS

IaaSとは「Infrastructure as a Service」の略であり、サーバー環境そのものを提供するクラウドサービスです。PaaSは開発環境を纏めて提供しますが、IaaSは開発するためのインフラのみを提供します。

IaaSを利用することで、自分たちで独自の開発環境を形成することができます。もちろんその分IaaSを利用する場合は、相応のITスキルが必要ということになります。

レンタルサーバーなどのサービスは従来からありますが、IaaSはより様々なサービスを提供してくれます。IaaSはサーバーとして扱われるコンピュータ自体を貸し出す訳ではなく、コンピュータ上に作り出された仮想サーバーを提供する場合が多いです。仮想サーバーのメリットとして、障害が発生した場合直ぐさま同じコンピュータ上の別の仮想サーバーに移転することができる点が挙げられます。また、コンピュータ自体を貸し出す訳ではないため、コストの削減にも繋がるでしょう。

IaaSの例としては、Google ComputeAmazon Elastic Compute Cloudなどがあります。

DaaS

DaaSとは「Desktop as a Service」の略であり、仮想デスクトップ環境を提供するクラウドサービスです

ユーザーはディスプレイやキーボードなど最低限のものを用意するだけで、後はネットワークに接続すれば仮想デスクトップを利用できます。DaaSを利用することで、高度なパソコンが必要なくなります。

似たようなものにVDIというものがありますが、VDIは自社サーバーで仮想デスクトップを運用しているものを指します。VDIの方が自分達で環境を整えることができますが、その分サーバーの維持費などがかかってしまいます。

DaaSの例としては、NEC Cloud DaaSなどがあります。

代表的なクラウドサービス

ここからは代表的なクラウドサービスについて解説していきます。クラウドサービスは誰もが知っている大手企業で運営していることが多く、様々な種類が存在しています。

本記事で紹介するクラウドサービスは以下の通りです。

  • Dropbox
  • Evernote
  • アマゾン ウェブ サービス(AWS)
  • Google Cloud
  • Azure

Dropbox

様々なサービス

DropboxはSaaSの代表的なサービスであり、使った経験がある人も多いかもしれません。

Dropboxはインターネット上にデータを保存することができるサービスです。保存したデータはPCやスマホ、どの端末でもログインさえすれば、データを閲覧したり編集したりすることが可能です
スマホで取った写真を、パソコンを使ってサイトにアップロードしたい場合など、Dropboxは大いに役立ちます。

またデータをクラウドストレージ内に保存することにより、端末上にデータを入れておかなくて良くなります。そのため、パソコンのストレージ容量を節約したりすることも可能です。

更に、Dropboxにバックアップを取っておくことで、端末が壊れてデータが取り出せなくなった場合に重宝します。こういったデータ保存サービスは他にもありますが、その中でもDropboxは一般の方が好んで利用しています。

Evernote

サービスイメージ

EvernoteもDropbox同様、クラウド上にデータを保存できるサービスです。

Evernoteに関しては、主にメモとして使っている人が多数を占めています。思いついたアイデアをスマホからEvernoteにメモしておき、後でパソコンにまとめる、といった使い方をしている方が多いです。

その他、データをメモ付きで保存したり、ウェブページの内容を丸ごと保存したり、SNSにデータを公開したりと言ったことができる点も、Evernoteがメモとして有用である理由でしょう。

また、保存したデータを簡単に他者と共有できるのもEvernoteの魅力的な点です。

アマゾン ウェブ サービス(AWS)

サービスイメージ

AWSはAmazonのクラウドサービスであり、2006年にサービスが開始されました。元々このシステムは、Amazonで大量に売られている商品の在庫管理や、ユーザーの購買データなどを分析するために使われていました。

AWSはそれを一番ユーザーにも公開し、どなたでも使えるようにしたものです。

Amazonが活用している最新の技術を利用できるため、多くの企業から注目を集めています。クラウドサービスの中でもサービスの質が高く、拡張性にも優れているのが特徴です。

AWSで提供されているサービスには、以下のようなものがあります。

  • レンタルサーバー
  • データベース
  • HDDを利用したデータの保存やバックアップ
  • ソフトウェアのオンデマンド配信
  • IoTシステムの構築
  • 機械学習
  • 画像認識

AWSは現在、世界のクラウド市場の約3割を占めています。

Google Cloud

サービスイメージ

Google Cloudはgoogleが提供しているクラウドサービスです。Google Cloudには、様々な管理ツールが存在し、多岐に渡るサービスがパッケージ化されています。

提供されているサービス自体は、他のクラウドサービスと代わり映えないものの、グーグル社のハイレベルな技術を使えるということで注目を集めています。グーグルで使われている検索サービスやYoutubeなどで使われている技術が眼の前に揃うのは、非常に魅力的に感じる所でしょう。

Google Cloudには、以下のような製品がひとかたまりになっています

  • Google Compute Engine(GCE)→ レンタルサーバー
  • Google Cloud SQL → データベース
  • Google Cloud DNS →ドメイン名・IPアドレスを変換するDNS

Google Compute Engineはレンタルサーバーです。Google Compute Engineを使うことで、googleの安定したインフラ上でアプリを運用できます。自動的にスケール(メモリやハードディスクを増設すること)をしてくれるため、アクセス数が増えてもサーバーが落ちたり重くなったりしないのが魅力です。Google Compute Engineは長年稼働し続けているため、サーバーとして信頼性があります。

Google Cloud SQLはGoogle Cloud上でデータベースを利用したり、設定したりできるサービスです。Google Cloud SQLを使うと、パッチを適用したり、バックアップを管理したりする作業を全てグーグル側に任せることができます。エンジニアはこれらの作業に時間を取られなくても済むため、開発に集中ができます。

Google Cloud DNSでは、DNS のサービスが提供されています。サーバーを運用する際にはDNSサーバーの設定が必要になります。Google Cloud DNSを使うことで、ドメイン名とIPアドレスを容易に変換することが可能になります
Google Cloud DNSは可用性が高いため、アプリケーションやサービスを効率良く提供できるメリットがあります。

Azure

サービスイメージ

Azureは2010年にMicrosoftが提供を開始したクラウドサービスです。AWSの方がクラウドサービスとしてはシェアが大きいですが、Azureも現在徐々に伸びてきています。

Azureを使うメリットとしては、仮想マシンを起動さるときの起動完了時間が早いこと、などが挙げられます。仮想マシン用バックアップサービスが提供されているのもAzureの方だけです。

またAzureは料金設定が日本円ベースのため、為替の影響を受けることがないのも魅力ですね。

一般的にAzureは、Webアプリケーションの構築に向いていると言われています

Azureが提供しているサービスは以下のようなものです。

  • 仮想マシン
  • データとストレージ
  • 認識サービス
  • アナリティクス
  • 仮想ネットワーク

まとめ

クラウドサービスのイメージ

いかがだったでしょうか。本記事では、クラウドサービスについて解説させて頂きました。クラウドサービスを活用することで、コストやITスキルの不足を補うことができます。

クラウドサービスは今後更に普及していくと推測されます。本記事を読んでクラウドサービスに興味を持った方は、ぜひ会社での導入を検討してみて下さい。

そのままスキャンでは、書籍に限らず書類図面絵画マイクロフィルムといった資料まで様々な媒体を電子化しています。高品質なデータを作成した後は、今回紹介したクラウドサービスを活用し会社や機関の貴重な共有財産にしてみてはいかがでしょう。