結局、ペーパレスって何がいいの?代表的なメリットと注意点

2019.04.23

ペーパーレスとは、紙の資料をデジタル化して使用することをいいます。おもに会議やミーティングなど多数の社員間で共有する必要のある業務内容に関して使われることが多く、紙の資料をスキャンし、PCやタブレットへ表示することにより一斉に情報を確認・共有することが可能です。

このようにペーパーレス化を取り入れることにより、紙の資料に関する業務全般において効率化をはかることが期待できます。一部の企業ではすでにペーパーレス化が取り入れられ、おもにプロジェクトや会議など社内の業務における部分的な場面で利用され始めています。

ペーパーレスのメリット

では実際にペーパーレスを取り入れることによって具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?

基本的には人件費や業務効率化に関係するものですが、具体的なシーンは様々です。順に見ていきましょう。
 

紙の良さはそのまま、高い利便性を実現

利便性向上

紙の資料をペーパーレス化して利用することは、紙の資料をそのままスキャンして行うため、紙の見やすさなど良さはそのままに、操作がしやすい環境を実現することが可能です。各社員への配布も瞬時にして可能なため、手間がかからず手軽に資料を共有できます。そのため、紙の資料に比べて持ち運びや取り扱いなどがコンパクトに行えます。PCやタブレットでスムーズに操作性も良く閲覧することが可能です。

セキュリティが強化できる

情報の漏洩のほとんどが紙の資料によるものといわれています。その点、デジタル化してしまうとセキュリティ面での強化が可能です。

会議の際の資料や報告書など紙の書類を、インターネット上で電子化してデジタルファイルとしてやりとりすることで、情報を安全に効率的に共有できます。また、必要な書類以外には、検索制限をかけてしまえば、会議ごとに必要な部分以外は共有されないなど、より手軽に情報の管理が可能です。さらに、必要のないダウンロードや閲覧についても、部分的に制限をかけられる面も大きなメリットです。

遠隔での会議などに便利

会議

働き方革命など、ライフスタイルの変化やビジネスのグローバル化により、ビデオミーティングなど遠隔で実施する会議なども増えてきました。

海外などに支店を持つ企業も多くあり、遠隔であっても一瞬にして業務内容による重要事項を簡単で時間もコストもかけずに共有できることは、企業にとっても大きなメリットとなります。実際に遠隔で行う会議やミーティングなどで使用する資料は、データを送るだけという簡単さで、スムーズに情報の共有が可能です。

中でも一番多く活用されることが多い場面として、会議やミーティングなどの社内間での情報の共有です。会議で使用した資料は、比較的後日も使用することが多いため、非常にペーパーレスとの相性が良く、多くは会議など多くの人が同時に情報を共有することの多い場面での利用価値が非常に高いです。またさらに、短期的なプロジェクトで業務に必要なデータや書類をすぐに確認したい場合にも非常に有効です。

使い方次第で非常に利用価値の高い使い方のできるペーパーレスは、あらゆる企業において有効だといえます。

業務の効率アップ

ペーパーレスを導入することにより、業務内容のさまざまな場面での効率化を図ることが可能になります。というのも、これまで紙の資料を作成するために費やしていた時間や人件費、コストを大幅に削減することができるからです。またその分、スタッフ一人一人のそれらに付随する業務や作業への効率を図ることも可能となります。

ペーパーレス化することは、最終的に企業の売り上げやスタッフの収入アップにつながる要因の一つとなり得ます。

スペースを確保できる

棚に詰まった資料

これまでは使用した資料などを置いておく場所を確保することが必要で、年々溜まっていく資料を保管しておくことは多くの企業にとって一つの大きなデメリットとなっていました。資料の置き場所を確保しなくてはならず、セキュリティ面に関しても管理が大変であり、誰が管理するかなど多くの問題を抱えていました。

しかしペーパーレス化することによって、資料を置いておく場所を確保することなく、非常にコンパクトに保存でき、しかも後から簡単に検索することも容易となりました。また、業務量に応じて年々増え続ける資料を管理するだけでなく、必要無くなった資料や年次や改定によって処分しなくてはならない資料をデータ化したり整理する必要がなくなり、大幅にその作業にかかる時間と労力が必要無くなります

これは、やはり多くの作業と人件費の削減にもつながります。プロジェクトごとや、企業内でも部署ごとに資料を分けて保存していたり、またどこに分類すれば良いかわからないような書類や資料もすべてデータで保管できるため、書類を置くスペースの確保が必要なくなり、必要な時に必要な書類をすぐに検索して探すことも可能です。さらに検索できる分類を制限して管理することも可能なため、セキュリティも万全に近い状態で管理できます。

   

劣化した資料も保存することができる

痛んだ資料

紙は、置いておくだけでも日に日に劣化していきます。年々増え続ける資料は、その年数が古ければ古いほど劣化していくことは否めません。そんな場合でもペーパーレス化処理してあれば経年劣化に悩まされることもなく、状態を保ったまま業務へと活かすことが可能です。

どんなに古い資料であっても、いつでも良い状態のまま参照することができることは、さらなる業務の効率化につながるといえるでしょう。

   

必要な資料をすぐに見つけられる

会議やミーティングの際に使った資料は終了した後で保存できるため、後日確認したい場合にも、手軽に確認できるのが特長です。さらにデータ資料の日時や分類などをシステムに組み込んでおくことで、後からでも必要な資料を一瞬で見つけることも可能です。以前使用した資料をすぐに見つけて再度使用することが容易にできるため、プロジェクトを円滑に進めることが可能です。これは想像以上に画期的な業務の効率改善に繋がります。

   

資料内のキーワードを瞬時に探せる(OCR処理)

前項とも共通しますが、資料内には画像の中にテキストがある場合があります。一般的に誰にでもわかりやすく資料を作成する場合には、画像を取り入れることは必須です。

しかしペーパーレス化する際には、これまでは画像の取り込みやテキスト認識などテキストだけの資料に比べて作業量が必要でした。ここにOCR処理を行うことにより、画像内の文字部分も文字として認識し読み込むことが可能となります。そのため画像部分のテキストに対して、その他のテキストとは別に処理を行う必要がなく、非常に電子化する際の作業効率にもつながることができます。

   

オフィスにおける諸経費削減

経費削減に喜ぶ女性

最初はデジタル機器の導入など一時的にコストがかかる場合もありますが、一度ペーパーレス環境を整えてしまえば、タブレットやPCがあればいつでも情報を共有できるようになります。これは企業にとって円滑な業務をしていくためには非常に合理的です。また、紙の廃棄が大幅に減ることにもなり、環境維持にも役立ちます

このように、会社資料の印刷や、人件費、また配布などにかかる時間やコストを大幅に削減できます。作業効率の改善により、生産性の効率も期待できるうえ、労働時間の短縮やライフスタイルに合わせた多様な働き方の実現もより可能となります。環境に優しいだけでなく、オフィス自体が非常にスッキリとすることで、スタッフ全員が仕事のしやすい環境となり、より作業の効率アップにつながるというメリットが期待できます。

個々の端末から容易にアクセスが可能

ペーパーレス化を行うことによって、多くのスタッフが自身の活用している端末から一度に会議資料を閲覧できることが可能です。そのため会議の度に資料を一人分ずつ用意する必要が無く、その分の人件費やコストの削減につながります。また、会議終了後に必要のなくなった資料を破棄する作業も必要なくなり、大幅な用紙に付随するコストダウンに繋がります。

さまざまな端末から容易にアクセスできるとなるとセキュリティ面が懸念されますが、ファイルやカテゴリー毎にパスワードをかけることができるのもデータ保存のメリットです。

印刷業務やファイリング、配布作業の削減が可能

会議やミーティングには欠かせない資料ですが、紙の資料の場合は用紙代や印刷、製本などにかかるコストがかかります。また、膨大な量のコピーや内容のチェック、資料の整理など、多くのスタッフがその一連の作業に翻弄される時間と人件的なコストがかかります。

そこでペーパーレス化を取り入れることによって、これらにかかるコストや手間や時間すべてを、より重要視すべき多くの業務に当てることができ、企業全体の効率化に繋げることができます。

紙の書類の廃棄作業が不要

紙の処分

紙で保存しておいた資料や書類の廃棄も非常に時間、人件費をはじめとしたコストがかかります。

その点データに保存しておけば、かなりの量の資料や書類を経年劣化させることなく、またオフィスを書類で占領することなく保存できます。そうすることでオフィスをより快適な空間として利用できますし、持ち運ぶ書類もタブレットのみでかさばらないことも実際にはストレスなくスムーズに業務をこなせることに繋がります

何より書類や資料で占領されない綺麗な環境のオフィスは、それだけでも社員にとって別の物に置き換えることのできる展望性があります。カフェスペースにしたり、多様な価値観も取り入れやすくなります。

取引先との情報共有

取引先によってはペーパーレスを取り入れていない企業も多くあります。

請求書など重要な書類など取引先がペーパーレスを取り入れていなかった場合には、紙の請求書を送る必要があります。取引先毎に書類を作成し送付するとなると、それはそれで新たな作業や課題が出てきます。これではいくら社内での理解を得られたとしても、取引先によっては業務が左右されることが大いにあります。

そのため、まずは社内間で共有する類いの情報から始めて、成功例を作っていくことが最優先課題だといえるでしょう。それ以外の、取引先に応じて書類体系が変わってくる書類などについては、当面は紙の書類で対策をしていくなど工夫が必要です。しかしペーパーレスを取り入れることによって、社内間だけでなく、社外との必要な情報の共有ができる点はメリットといえるでしょう。

ITが苦手な人材へのタブレット導入に

タブレット操作

年代などによってインターネットに馴染みがなかったりすると、どうしてもペーパーレス化への反発も出てきます。単純にインターネットが苦手ということもありますが、それ以外にもタブレットだとこれまでに気軽にできていたメモが取りづらい、セキュリティ面での懸念が理由として挙げられます。さらにはデータの消失、IT機器に慣れるまでに時間がかかること、またタブレットやPCの機種などによって使い勝手が違うことで対応が遅くなり、余計に時間と手間がかかるように感じるなど様々な理由があります。

そのような場合であっても、企業で一丸となり可能な範囲でタブレットを導入するなど、キーボードが苦手な人材でも気軽に参入しやすい環境から徐々にペーパーレス化への理解を促すのも一つの策だといえます。

ただし突然の機器の故障やハッキングなど、突然の事故やネットワーク上の不具合などでもデータが消失してしまうことは十分あり得ます。そのような場合、ITが苦手な人にとってはすぐ対応ができず、その都度わかる人に聞かなければならないなどの煩わしさなどもあります。

業務で使用する機器や資料をすべてペーパーレス化してしまうことは、多くの社員の意図しない不具合に対処できない事実も起こり得ることになります。これらの事態に備えて、いざという時にどのような対策をとるかというところまで、事前に取り決めを行い、周知の事実としておく必要もあります。

いずれにしても理解を得るためには、懸念材料となる要素はすべて説明や対策を取れる体制を整えておく必要がありますので、徐々に進めていくことが現実的な方策といえます。

ペーパーレス化をワンストップで実現

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補足:ペーパーレスを巡る環境変化について

以上見てきたようにペーパーレスには沢山のメリットがありますが、なかなか全ての企業で浸透していないのが実情です。とはいえ、現在はペーパーレスを巡る環境も変わってきました。

スキャン技術やデータ保存のコストが手軽に

資料をスキャンする技術やインターネット環境が整っている現代だからこそ、幅広い分野でペーパーレスを取り入れやすくなっています。データの保存をするためのコストや、自由自在にデータを管理することのできる環境で管理しやすい環境が整っているため、ペーパーレス化を導入するのであれば、現代は非常に有利な条件が整っているといえます。

ペーパーレスできない書類もある

全ては電子化できない

書類は経済産業省による電子文書法によって、電子保存ができない書類と、電子保存ができない、対象とならない書類があります。

多くの人の承認を得るために作られる稟議書や、災害や事故、不具合など緊急時にすぐに確認するための資料をまとめた安全の手引き、そのものが証明となる運転免許証や各種許可証などはペーパーレス化が禁じられています。また各種契約時に使用する契約書や領収書、決算に関する書類など法的な処理が関わってくる書類についてはこの「電子文書法」をよく読み、定めに従う必要があります。

このように、すべての書類をペーパーレス化する必要はなく、必要な書類やペーパーレス化できない書類や資料だけは残して部分的にペーパーレスを導入するのも一つの方法です。さらに年々、法改定によりペーパーレス化にまつわる法令が発表され、これまではデータ保存できなかった資料や書類も、徐々にデータ保存できるようになってきています。

また一定期間保存しておかなくてはならない帳簿類は、紙でなければ保管することができなかった時期に比べ2004年から適用されている制度により、帳票や申請書などでもデジタル化し保存しておくことができるようになりました。そのため、現在は多くの企業でペーパーレスを取り入れやすくなってきています。年々紙の消費量が減少してきていますが、今後はさらにこのような変更が加速していくことがいえます。

リモートワークという働き方

現代は、働き方革命により会社へ出社しなくても働くことができるリモートワークという働き方が広く浸透してきています。そのため多くの企業でも、先述したような遠隔でのミーティングなどが可能な環境になっています。

それに伴い、このようなペーパーレス化も合わせて導入される企業が増えてきています。遠隔でもデータのみで情報の共有ができることは、より近年増えている多様なライフスタイルにマッチしているといえます。

ペーパーレス化をどうやって進めるか

企業トップの協力が重要

握手

ペーパーレスを取り入れたいと思っても、その企業全体に理解してもらえる環境が整っていないと難しいといえます。特にトップ自ら動いてもらえるような環境を作るための理解を得ておかないと、ペーパーレス化の実現は厳しいでしょう。またペーパーレスを取り入れるための予算取りもしなくてはならないため、社員全体、会社全体で取り組む必要があります。

トップ自ら動いてもらうことによって、よりペーパーレス化への説得力が増し、協力を得られやすい環境を整えることが最優先です。実際には先述したように会社全体を一気にペーパーレス化することは困難ですから、一部分から試しつつ、成功例や突然のトラブルにも対応可能な環境が整っていることを周知し見せていくことが必要といえます。

まとめ

ペーパーレスに喜ぶシーン

働き方改革による電子文書化が制定されたことを受け、積極的にペーパーレス化する動きが高まっていますが、実際にペーパーレスに取り組めている企業はまだまだ少ない現状です。

その最も多い理由として、ペーパーレスを取り入れるためのシステムを揃えるコストがかかることや、デジタル世代でない年長者の抵抗、また取り入れるまでの手間や時間などがあり、それぞれの企業によってさまざまな問題を抱えています。ペーパーレスの目的は、コスト削減以外にも資料や書類のデータ化による効率化も大きなポイントです。

企業毎にペーパーレス化するべきポイントに気づき、そこを改善していくために行う大切な取組みなのです。そして最終的には社員全員が働きやすい環境を作り出すことが目標です。ペーパーレス化は、その手段の一つであるため、企業によってペーパーレス化する部分は違ってくることもあります。どのくらいの予算で実現できるのかなどをしっかりと見極めた上での判断も必要となってきます。

一概にペーパーレスのメリットだけを見ても、その企業にとってメリットがあるかどうかは非常に重要なポイントです。また、比較的インターネットに強い人や世代によっても逆に仕事の効率化の面で差が生じてきてしまうことも一つのデメリットにもなりかねません。そのような場合には、実際にペーパーレスを導入するための手間や時間が、インターネットに強い人材の揃っている企業に比べて時間がかかってしまうことも否めません。

これらの制約を考えると、各企業でペーパーレス化の感覚を掴むまで、最初のうちは電子化代行業者に進め方を聞いたり、部分的に依頼してみるのが的確でおすすめです。しかしやはり全体的にみるとこれまで紙の資料で保存していた資料を一部だけでも電子化したりシステム化する事で、企業内の業務を効率化させたり、これまでかかっていたコストの大幅な削減につながることも事実です。

これからのペーパーレス社会に向け、少しずつでもペーパーレス化を進めていくことが求められます。現時点ですべての紙の書類を取り除く必要はなく、企業にとって必要だと思われる資料やデータは紙の書類で保存することも重要です。

企業にとって必要な資料や書類は残し、必要な情報を迅速に活用できる環境を作ることや、業務の効率化、紙の書類にかかるすべてのコストを削減できること、環境の保護が、ペーパーレス化の主たるメリットと言えるでしょう。