豪雨があった時の備えとして、電子化が役に立つ?

2018.09.28

2018年は災害の年として後年暫く語られるのではないか、というくらい、この年は自然災害が続きましたね。豪雪に始まり、平成30年7月豪雨(西日本豪雨)や北海道胆振東部地震、大阪府北部地震など改めて災害列島であることを思い知らされました。東京は幸い大きな被害の出る災害はありませんでしたが、毎日35度を超えるような酷暑日が記憶に新しいところです。

こうした水、火、建物への被害はいずれも書籍にとって大きな脅威と言えます。資料を脅かす要因としては経年劣化が真っ先に挙げられますが、今回のような大災害の時には改めて痛感させられますね。

さて、そんな災害と書籍の電子化について、最近あったことをお話させていただきます。

西日本豪雨後・四国から電子化のお問合せ

四国のイメージ

特に長期に渡る被害が出た西日本豪雨ですが、実はそのままスキャンでは実際に被害を受けた方からお問合せを受けることもありました。

高知県のある不動産会社様からいただいたお問合せでは、曰く『豪雨で所有する契約書が全て濡れてしまった』とのこと。それも不動産ということで、A0サイズの大判図面が折込で添付された冊子も所持しており、それらを非破壊でスキャニングする必要があるとのお話でした。私は直接対応した訳ではありませんが、突然の豪雨、それによって思いもよらぬ所で被害が出てしまったのかも知れません。非常に急いでおられるようでした。

実はこのお客様以外にも、西日本豪雨前後の七月は近畿・四国・山陰地方からそのままスキャンへのアクセスが全体的に十数%ほど増えていました(特に被害の大きかった岡山県は前月比100%以上の増加率)。勿論他の要因もあるかも知れませんが、何らかの被害に遭われた、もしくは甚大な被害を見て書籍や資料の保存の必要性を感じ、インターネットで電子化代行業者を検索したのかも知れません。元々そのままスキャンは東京のお客様を中心に電子化させていただいてきたので、一時的に西日本からのお電話が増えたことが非常に印象的な出来事として記憶に残っています。

電子化=災害対策とはなりにくい?

悩む女性

一方、通常電子化を検討されている方で『自然災害に備えて資料を電子化しておきたい』といったニーズをお受けすることはまずありません(あくまで関東地方を主とした反応です)。個人でも法人でも、災害対策で電子化を思い立つというのは中々珍しいと思います。

ただ詳しくお話を伺ってみると皆さんご心配なところではあったようで、先日インタビューを公開した中小企業家同友会全国協議会(中同会)様も

マイクロフィルムに対しては、火事や地震といった管理に対するリスクも感じていました。デジタル化しておけば情報資料として管理が出来ますし、コピーも可能となる。

と、紙の書籍に比べ劣化への耐性が非常に高いマイクロフィルムでさえ、自然災害へのリスクには太刀打ちできないと常日頃感じられていたようです。

このように実際に電子化された方々は、一義的には『中のテキストデータを活用したい』『記念誌を作るから画像として欲しい』という日常の業務に関係した動機が目立つものの、実際に電子化したことで災害による情報の劣化・消失を回避出来るようになった、それが安心に繋がっておられるようです。特に中同会様の資料には原本の存在しないものも含まれていたので、デジタルアーカイブとして保存出来るようになったことは、情報活用の幅拡大と合わせて大きな意味があるものだったとのお話でした。

短期的に見て、災害対策が何らかの付加価値をもたらすことはないかも知れません。しかし『とりあえず保管してるから』と放置したままにしておくと、いざという時取り返しのつかない事態になる可能性もあります。『劣化防止』という視点に是非長期的な『災害対策』というアプローチも加え、古い資料や書籍の電子化を検討してみてください。