電子書籍でよく目にするEPUBとは?

EPUBってなに?

EPUB(イーパブ)という言葉を見たり聞いたことはありますか? 電子書籍を扱う仕事をしていたり電子書籍に興味がある方は、EPUBという言葉に聞き覚えがあるかもしれません。

本記事では電子書籍を扱うにあたって、重要な要素になるEPUBの詳細から使用するメリット、デメリット、自分でEPUBの電子書籍を制作する際に必要となるものを中心に説明します。

EPUBとは

EPUBとは一体何なのでしょうか?ここではEPUBの正体を説明します。

電子書籍のフォーマット

EPUBは「Electronic PUBlication」の略で、電子書籍の1つのファイルフォーマットです。EPUBの特徴は特定のハードウェアじゃないと読めないという依存性がないオープンフォーマットであるという点です。

EPUBの歴史

EPUBが登場する前は独自仕様の電子書籍ファイルフォーマットが多く、固有のハードウェアが必要となるケースが大半でした。

固有のハードウェアに依存する電子書籍ファイルフォーマットは、そのハードウェアが販売されなくなった場合使えなくなる可能性が高いというリスクがあります。

それに危機感を抱いた国際電子出版フォーラムは、2007年9月にオープンフォーマットでハードウェアに依存しないファイルフォーマットの規格であるEPUBを策定したのです。2019年3月現在では、EPUBは最新の規格であるEPUB3.1となっています。

EPUBのファイル構造

少々専門的になりますが 、EPUBのファイル構造はWebサイト制作に使用されているHTML形式で情報内容が記載されています。それを圧縮フォーマットであるZIPで圧縮した後、ファイルの拡張子をEPUBに変更しています。

EPUBファイルを制作する際はテキストデータをEPUBファイルに変換する専用ソフトを使用するため、HTMLの知識等は必要にはなりません。

補足ですが、.epubファイルの拡張子を.zipに変更して圧縮解凍ソフトを使って解凍するとHTMLファイルとして記述されている中身を確認することができます。一般的にこのような使い方をすることはまずありませんが、雑学として覚えておくと面白いかもしれません。

EPUBは専用のリーダーが端末にインストールされていれば読める

EPUBは最初にお伝えしたように特定のハードウェアに依存しない電子書籍ファイルフォーマットです。EPUBリーダーが端末にインストールされていれば、どの端末でもEPUBファイルを読み込むことができます。

EPUBリーダーは2019年3月の時点で多くリリースされており、WindowsやMac以外にもiPhoneやAndroidといったスマートフォン向けのアプリとしても登場しています。

具体的にEPUBリーダーとして有名なソフトは以下の通りになります。

  • Adobe Digital Editions(Windows/Mac)
  • iBooks(iPhone(iOS))
  • Google Play Books(Android)
  • honto(Windows/Mac/iPhone(iOS)/Android)

補足ですが、電子書籍リーダーとして有名なAmazon Kindleや楽天 KoboではEPUBを使用していないため、EPUBで作られた電子書籍を読み込むことはできません。しかし、ちょっとした手間を加えると読み込めるようになります。

その方法はEPUBで作られた電子書籍に対して専用ソフトを利用し、Amazon Kindleや楽天 Koboで利用されている電子書籍ファイルフォーマットに変換すること。

そうすることによって、例えばEPUBで制作した自作の電子書籍などをAmazon Kindleや楽天 Koboで楽しむことができます。

EPUBのメリット

特定のハードウェアに依存しない電子書籍ファイルフォーマットである時点で十分使用する価値があるEPUBですが、メリットはそれだけではありません。

EPUBは今後読めなくなる可能性が無い

EPUBは現在のWebを構成しているHTMLをベースにしているため、HTMLが廃れない限り、読めなくなるということがありません。また、HTMLもWebを構成するフォーマットとして 画期的な代替手段が現れない限り廃れることはないでしょう。

つまり、今のところEPUBが読めなくなるという可能性は限りなくゼロに近いということです。そのため、EPUBというフォーマットは長期的な目で見ても安心して使用することができます。

動画や音声を入れられる

電子書籍のフォーマットであるEPUBですが、驚くべきことに動画や音声も埋め込むことが可能です。音声や動画によって電子書籍という枠を超えて、メディアを伝えることができる革新的なフォーマットといえるでしょう。

縦書きに対応している

2010年10月に発表されたEPUB3は縦組みと縦中央による縦書きにも対応しています。他にも句読点の禁則処理やルビ表記など、日本語で作られる電子書籍に必須となる機能が多々追加されました。

また補足ですが、台湾や香港による縦書きや右から左へ書いていく、アラビア語やヘブライ語などにも対応しています。

つまり、2019年3月現在の最新バージョンであるEPUB3.1では英語のみならず、日本語をはじめとした多国語にも対応しているわけです。多くの言語に対応している点もEPUBの特徴と言えるでしょう。

レイアウトを細かく設定可能

EPUBはWebサイトのデザインを設定するCSS(カスケーディング・スタイル・シート)を利用することができるため、細かくレイアウトを設定することが可能です。他にも画像を埋め込めるため、画像を多用する書籍、例えば数式を多く使う技術書なども電子書籍として作成することができます

また、EPUBのレイアウトには大きく分けてリフロー(再流動)型とFIX(固定)型の2つがあります。

リフロー型は文字サイズや端末の解像度に合わせて1ページに表示される行数や文字数を変化させる仕組みです。

リフロー型にはページの概念がなく、文字情報のみ持っています。画面に都度必要となる文字だけを呼び出して表示するため、結果的にそれが我々のよく知っている「ページ」というかたちになるのです。一般的に販売されている小説の多くはリフロー型を採用しています。

一方、FIX型は紙の本と同様に文字や画像などの配置場所やデザインを始めとしたレイアウトが固定されているものを指します。 例えば画像が多用される技術書や漫画などにはFIX型が採用されます。

FIX型はリフロー型と異なり、ページの概念を持っています。そのため画面解像度が異なる別々の端末で表示した場合でも1ページあたりの見え方は変わりません。

ただし、一般的にFIX型は解像度が大きく、画面サイズも大きい端末ではないと見にくいという欠点が存在します。

まとめると文字情報中心ならばリフロー型画像やページあたりのレイアウトが重要となるコンテンツはFIX型が採用されます。

EPUBで書籍を作成するとAmazonで出版できる

電子書籍を販売している出版社や企業は数多くありますが、その中でも多くのシェアを占めている企業はAmazonでしょう。

実はAmazonでは個人で制作した本を電子書籍として販売することが可能です。Amazonで扱う電子書籍としてAmazon Kindleストアに並べる方法は複数ありますが、その1つが EPUBで電子書籍を作成すること。

EPUBで作成した電子書籍をAmazonが用意するサービス「kindle direct publishing」にアップロードすることによって、Amazon Kindleストアに自分が制作した電子書籍を並べることが可能です。

EPUBを使えば個人でもAmazonで電子書籍を販売できるなんて、なんとも夢のある話です。

EPUBのデメリット

オープンフォーマットで国際化も進んでいるEPUBは、読み取る端末にとらわれない素晴らしい電子書籍ファイルフォーマットですが、2019年3月時点ではまだ完璧とは言えません。

多言語対応がまだ完璧ではない

オープンフォーマットで多言語を扱える電子書籍ファイルフォーマットであるEPUBは、とても便利で夢のある規格であるように感じます。

一方で多言語対応がまだ完璧とは言いづらく、全てのEPUBリーダーで正常に読み込めない可能性があるなど、不安定な部分がまだ残っています。

少々技術的な話になりますが、コンピュータで扱う文字はシングルバイトとマルチバイトという2つの概念があります。例を挙げると英語はシングルバイトで日本語がマルチバイトに該当します。

元々EPUBは英語圏を中心に開発されたもので、開発当初は扱う文字情報をシングルバイトに限定。それがEPUB3でマルチバイトにも対応し、英語以外の多言語を扱えるようになりました。しかし、それでもまだ不完全だということです。

とはいえ、EPUBは国際化を進めている電子書籍ファイルフォーマットです。今後一層マルチバイト対応は行われ続けていくでしょう。

EPUBの注意点

EPUBを使用して電子書籍を制作するときは、読者が読む端末のことを考慮しなければなりません。

紙媒体ではA4やB5などの紙面サイズが決まっており、必ず読者は制作者がレイアウトして読ませたい内容通り読み進めていくことになります。一方、EPUBには前述した通り、リフロー型とFIX型の2つがあります。これによって端末のサイズや解像度によって見え方が異なってきます。

特にリフロー型は読者が使用する端末の環境によって文字サイズや行間、1画面に表示される行数が異なってきます。1ページ何文字や何行といった単位で制作してしまうと、制作者が意図しないところで文字が切れたりして、意図通り読まれない可能性が高くなります。

FIX型は文字のサイズやレイアウトが固定されているため、端末によっては文字が非常に小さく読みづらくなるケースも考えられます。

そのため、制作者の目線で本を作るのではなく、読者の目線で本を作る必要が出てきます。特にFIX型はどんなサイズや解像度によっても読みやすいレイアウトを心がける必要があるでしょう。

ブラウザでEPUBが読めることで今後一層の普及が見込まれる

2019年3月現在、EPUBは読める環境の増加により、より一層の普及が見込まれています。

ブラウザでもEPUBが読める

2019年3月現在、最新のWindowsである、Windows10に標準搭載されているブラウザ「Microsoft Edge」にはEPUBリーダーが標準搭載されています。

Microsoft Edgeに搭載されているEPUBリーダーはWindows10のシステム部分と連携しており、テキストコピーや音声認識機能つきのアシスタントであるCortanaへの質問、インクノート、注釈、音声読み上げ機能が搭載されています。

豊富な機能が用意されているため、ただ読むだけのEPUBリーダーではなく、多岐に渡って利用することが可能です。

また、MicrosoftのサービスであるWindowsストアでも2019年3月現在ではアメリカに限定されていますが、EPUBによる電子書籍の販売が行われています。これがアメリカ以外にも広まればEPUBは現在よりもさらに普及するでしょう。また、企業や出版社、作家にとってはビジネスチャンスになることも予想されます。

Microsoft Edge以外にもGoogleがリリースしているChromeやMozillaのFirefoxなど様々なブラウザでもEPUBリーダーを拡張機能として追加して、ブラウザ上でEPUBを読むことができます。

ブラウザは、Windows 、Mac、Linuxといった主要なパソコンの中に必ずインストールされているものです。そのため、パソコンがあれば簡単に読むことができるという点もEPUBがさらに普及すると見込まれている理由でしょう。

Googleが推進しているPWAの影響

PWA(Progressive Web Apps)はスマートフォン向けのサービスで今までブラウザで体験していたWebサービスをスマートフォンアプリのように使えることを目的としたプロジェクト。

現状ではブラウザに搭載されたEPUBリーダーはあくまでブラウザの機能であり、ブラウザを立ち上げなければ使うことができません。それがPWAの影響により、スマートフォンアプリと同様の感覚で使用できる可能性が高まってきています。

この点がEPUBのさらなる普及に拍車をかけるのでは、と有識者は言及しています。

自作のコンテンツをEPUB化させたい場合

EPUBの普及により自作のコンテンツをEPUBとして電子書籍化したいというニーズも増えてきています。では、どうやって電子書籍化するのでしょうか。

EPUBで電子書籍を作るためにはソフトが必要になる

一般的にEPUBで電子書籍を制作するために必要なソフトは以下になります。EPUB制作ソフトは有料ソフトから無料オープンソース、クラウドベースまで多岐にわたってリリースされています。

  • 一太郎(Windowsのみ、有料)
  • adobe InDesign(Windows/Mac、有料)
  • Calibre(Windows/Mac/Linux、無料)
  • でんでんコンバーター(クラウドベース)
  • BCCKS(クラウドベース)

この中でも特にでんでんコンバーターが無料で簡単にリフロー型のEPUBフォーマットの電子書籍を制作できるため、個人で出版しているセルフパブリッシャーから多くの支持を集めています。初めてEPUBで電子書籍を作る際に最適でしょう。

EPUBのまとめ

オープンフォーマットであるEPUBの登場により、電子書籍は特定のハードウェアに依存することなく、様々な端末で利用できるようになりました。この件は電子書籍において非常に重要なポイントでしょう。

EPUBはファイル構造にHTMLを採用されているため、今後使えなくなる可能性はありません。リフロー型とFIX型という2つのレイアウトを任意で選択できる点も見逃せません。

また、昔から日本の書籍で馴染み深い縦書きに対応している点も我々日本人にとっては非常に重要なところでしょう。一方で多言語対応がまだ不完全という点は否めません。

EPUBはEPUBリーダーさえインストールされていれば、パソコンでもスマートフォンでも様々な端末で読むことができます。また、Microsoft Edgeを代表とするブラウザでもEPUBは読むことが可能です。そのため、EPUBは我々の生活の中で非常に近い位置に存在する電子書籍ファイルフォーマットと言えるでしょう

自作のコンテンツを簡単にEPUBにできる点も見逃せません。また、それを発展させることでAmazon Kindleストアに自分の本を並べることができる点もEPUBの魅力です。

電子書籍市場は2017年には2,556億円になっており、2022年には3,495億円に到達すると株式会社インプレスは調査結果を発表しています。

まだ電子書籍は紙の書籍より市場が小さいことは否めませんが、確実に成長してきています。電子出版業界は、今後が非常に楽しみな業界の1つと言えるでしょう。

そのままスキャンのEPUB作成サービス

そのままスキャン(株式会社誠勝)では、EPUB用のデータを作成するサービスを展開しています。最大の強みは痛んだ本でも非破壊で電子化し、そのまま出版出来るほどの高いテキスト化・校正の精度を実現していること。元データの無い書籍や画像しか残っていない絶版本などに最適です。

詳しくはEPUBそのままスキャンをご覧ください。

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